従業員が上司からセクハラ行為を受けたと報告がありました。個人間の問題として双方で解決するよう指示しようと考えています。問題はありますか?
ハラスメントに対して事業主は次のような措置を必ず講じなければなりません。これらの措置を講ずることは義務となります。
セクハラ事件として、従業員Xが上司Aからセクハラ被害を受けたと会社に訴えたが、会社代表Yが個人的な問題として解決するよう求めた事件があります。
その後、XとAは示談が成立しましたが、両者が職場で言い争ったため、Yは「本来ならば懲戒解雇だが、依願退職の形で辞めるよう」求めました。Aは退職届を提出しましたが、Xは退職金を受領したものの、退職届を提出しませんでした。ところが、YがXの後任を採用したのでXは勤務の継続を諦め、正当な理由のない解雇として、給与相当額、賞与相当額、慰謝料などを請求しました。この事件では
とXの訴えを認めています。
この事件では
事実関係を正確に確認することは大切になります。
- 相談に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備
- 相談窓口をあらかじめ定め、労働者に周知すること
- 相談窓口担当者が、相談内容や状況に応じ、適切に対応できるようにすること
- 職場におけるハラスメントに係る事後の迅速かつ適切な対応
などです。
- 事実関係を迅速かつ正確に確認すること
- 速やかに被害者に対する配慮のための措置を適正に行うこと
- 事実関係の確認後、行為者に対する措置を適正に行うこと
- 再発防止に向けた措置を講ずること
セクハラ事件として、従業員Xが上司Aからセクハラ被害を受けたと会社に訴えたが、会社代表Yが個人的な問題として解決するよう求めた事件があります。
その後、XとAは示談が成立しましたが、両者が職場で言い争ったため、Yは「本来ならば懲戒解雇だが、依願退職の形で辞めるよう」求めました。Aは退職届を提出しましたが、Xは退職金を受領したものの、退職届を提出しませんでした。ところが、YがXの後任を採用したのでXは勤務の継続を諦め、正当な理由のない解雇として、給与相当額、賞与相当額、慰謝料などを請求しました。この事件では
Yは、セクシュアル・ハラスメント問題の本質を見抜くことができず、その加害者であるAの弁解を軽信し、XとAとの間の問題は個人的な問題であるにすぎず、それが両者の間で私的ないさかいに発展したにすぎないととらえたために、両者が個人的な争いを蒸し返して社内秩序を乱したものと判断し、Xに対し、本来なら懲戒解雇であるが、将来を考えてAと一緒に依願退職の形で辞めてもらいたいと告げ、結局、本件解雇をするに至ったものであるから、Yが右判断に基づいてXを辞めさせる正当な理由があると考えて本件解雇をしたことには、過失があるというべきである。(平成11年3月12日 東京地判)
とXの訴えを認めています。
この事件では
- 職場におけるハラスメントに係る事後の迅速かつ適切な対応
- 事実関係を迅速かつ正確に確認すること
- 速やかに被害者に対する配慮のための措置を適正に行うこと
- 事実関係の確認後、行為者に対する措置を適正に行うこと
- 再発防止に向けた措置を講ずること
事実関係を正確に確認することは大切になります。