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ミスばかりする従業員に強めに注意をしました。パワハラになりますか? 

職場における「パワーハラスメント」とは、職場において行われる

  1. 優越的な関係を背景とした言動で
  2. 業務上必要かつ相当な範囲を超えたもの
  3. 労働者の就業環境が害されるもの

1.~3.までの要素を全て満たすものをいいます。
※客観的にみて、業務上必要かつ相当な範囲で行われる適正な業務指示や指導については、該当しません。

営業・経理などの業務に従事していた労働者からの、会社代表者からの暴言による体調不良や精神損害を理由とする損害賠償の請求が、不法行為を構成するほどの違法性は認められないとしてパワハラについては退けられた事例があります。
従業員(労働者)Xはこの会社に4月より勤め、9月より、会社代表AはXに「泥棒と同じ」「人間として最低」「会社にとって負の影響」といった叱責を行います。Xはやる気をなくし9月末で退職。その後、暴言に関する損害倍書を請求した事案です。(その他残業未払いも請求)

AがXにこのような厳しい話をする経緯あるいは背景には,Aが依頼したクライアントの投資とコンサルティング案件に関する所長との面談までの事業計画等をXが精査していなかった状況があったこととXにおいて顧客会社であるFネットワークに関する度重なるケアレスミス大きな売掛金の管理,資金繰りに管理上の問題があったことがある。

XがAから厳しい言葉なり態度で臨まれたのは9月に入って以降であること,そのようなAの態度の顕現から原告の退職まで一月以内であること,実際にAが会社に示した言動も原告の就業状況に何らの問題がない中での謂われのない指摘ではなく,私的因縁や嫌がらせといった類の文脈での言動でもなく,叱咤する言動そのものに多少比喩的あるいはきつい表現が見られても,会社の利潤追求目標なり組織の在り方とXの現状の業務処理状況との落差からAが取った表現態度であることは明らかであり,その文脈,シチュエーションに鑑みればAの当該言動はXの人格権をいたずらに侵害したりことさらに精神的打撃をXに加えることを意図したものではなく,業務遂行態度,考え方の改善を促すために行ったもので,不法行為を構成するほどの違法性があるものとまでは評価できない。(東京地裁平成18年11月10日)


このようにパワハラは認定されませんでした。但し、Aは「机をたたきながら」叱責していますが、昨今ではこの行動は問題があると思われます。

業務上必要かつ相当な範囲を超えたもの」がポイントとなります。人格を否定しない、多くの者が見ている前ではしないなど注意は必要です。