会社の代表者個人が従業員の行ったハラスメントの損害賠償責任を認められる事があると聴きましたが?
役員等が個人として、従業員が行ったハラスメントの損害賠償責任を認められた判例があります。
この判例では行為者の不法行為責任、被告会社の安全配慮義務違反による債務不履行責任及び使用者責任、さらに会社代表取締役の会社法上の責任を認めています。
ポイントは、パワハラの事実を認識又は容易に認識できたにもかかわらず、何ら有効な対策を取らなかったことです。
従業員が他の従業員にハラスメントを行っている場合、会社代表者は指導等有効な対策を行う必要があります。
行為者Y3は,かつて自らが受けた指導方法と同様にAに接したものであり,エリアマネージャーになるに当たって,部下に対する指導監督の在り方について指導や研修等を受けたことはなく,また,朝礼における暴言,暴行を含めて,パワハラ行為について指導等を受けたことがないことが認められる。これらの事実に照らせば,被告会社においては,業績向上を目指す余り,社員の長時間労働や上司によるパワハラ等を防止するための適切な労務管理ができる体制を何ら執っていなかったというべきである。そして,会社代表取締役Y2は,上記のとおり,長時間労働や上司による相当性の範囲を逸脱した指導監督の事実を認識し,又は容易に認識することができたにもかかわらず,何ら有効な対策を採らなかったのであり,故意又は重大な過失によりAに損害を生じさせたものとして,会社法429条1項による損害賠償責任を負うというべきである。(東京地裁平成26年11月4日)
(Y1は会社)
(Y1は会社)
この判例では行為者の不法行為責任、被告会社の安全配慮義務違反による債務不履行責任及び使用者責任、さらに会社代表取締役の会社法上の責任を認めています。
ポイントは、パワハラの事実を認識又は容易に認識できたにもかかわらず、何ら有効な対策を取らなかったことです。
従業員が他の従業員にハラスメントを行っている場合、会社代表者は指導等有効な対策を行う必要があります。