ハラスメントによりうつ病を発症しました。労災認定されますか?
労災の認定基準となる精神障害は、ICD-10第5章「精神および行動の障害」に分類される障害でF3、F4に分類されるものとなっています。うつ病(F3)、ストレス反応(F4)などは業務に関して発病する可能性があるものとされています。
労災認定の要件は次の通りです。
- 認定基準の対象となる精神障害を発病していること
- 認定基準の対象となる精神障害の発病前おおむね6ヶ月の間に、業務による強い心理的負荷が認められること
- 業務以外の心理的負荷や個体側要因により発病したとは認められないこと
業務上の心理的負荷による精神障害の労災請求事案については、厚生労働省による「心理的負荷による精神障害等に係る業務上外の判断指針」(令和2年5月29日付け基発0529大1号 一部改正)にて判断されます。
⑤ パーワーハラスメント
⑥ 対人関係
⑦ セクシュアルハラスメント
が該当します。心理的負荷は「弱」「中」「強」で判断されますが、「強」であれば労災として認定される可能性が大きくなります。また「中」であっても複数ある場合は「強」と判断されることもあります。
例えばパワハラを例にすると
「中」になる例として
- 上司等による次のような身体的攻撃・精神的攻撃が行われ、行為が反復・継続していない場合
- 治療を要さない程度の暴行による身体的攻撃
- 人格や人間性を否定するような、業務上明らかに必要性がない又は業務の目的を逸脱した精神的攻撃
- 必要以上に長時間にわたる叱責、他の労働者の面前においける威圧的な叱責など、態様や手段が社会通念に照らして許容される範囲を超える精神的攻撃
「強」になる例として
- 上司等から、治療を要する程度の暴行等の身体的攻撃を受けた場合
- 上司等による次のような精神的攻撃が執拗に行われた場合
- 人格や人間性を否定するような、業務上明らかに必要性がない又は業務の目的を逸脱した精神的攻撃
- 必要以上に長時間にわたる叱責、他の労働者の面前においける威圧的な叱責など、態様や手段が社会通念に照らして許容される範囲を超える精神的攻撃
- 心理的負荷としては「中」程度の身体的攻撃、精神的攻撃等を受けた場合であって、会社に相談しても適切な対応がなく、改善されなかった場合
となっています。「中」若しくは「強」と判断されるポイントは継続的であるかと会社に相談しても適切な対応がないことになります。
ハラスメントを起こさないようにすることだけでなく、万が一起こった場合は適切な対応をすることが大切になります。